スペイン暮らし

スペイン島暮らし中。スペイン人のマリド(夫)と2人暮らし。

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外国で生きていくという事。

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触れたくなかったし、思い出したくなかったし、忘れたかった。

でも、多分、逃げていても解決しないから。

あえて、思い出して自分の考えを書きながら、まとめようと思う。

 

数ヶ月前、コロナウィルスが流行する、随分と前の話。

 

外国で住むというと、どこかでいつか耳にすることがある「差別」という言葉。

 

私はスペインで、差別を受けたことがなかった。

今思えば本当に恵まれていた。

 

でも、そんな目にあう日が自分にくるとは想像したことがなかった。

でも、その日はやってきた。

 

 

土曜日のお昼。

スペイン人の旦那さんとランチに出かけた。

観光客が多い街から少し外れた、イタリアンレストランでランチ。

 

お天気がいい日で、風が気持ちよくて、私たちは迷わずテラス席に座った。

 

大きな道路に面した場所にあるレストランの、テラス席。

 

ご機嫌に出されたオリーブをつまみながら、メインのパスタを待っている時だった。

 

急に聞こえた。

「フェア、チナー」っていう声。

 

スペイン語のレベルがまだまだ低い私でもはっきりと聞こえた。

 

フェア、ちなってね。

日本語に直訳すると、ブサイクな、中国女!!!!

 

 

中国人の人口がたくさんいるスペインでは、アジア人=中国人という認識がある。

アジア人差別をするとき、決まって「中国人!!」と呼ぶ。

 

中国人経営の雑貨屋、レストラン、バルもたくさんあって、スペイン人の文化に共存している中国人。スペイン人が当たり前に、中国人経営のお店を利用する中、それでも、心なき一部の人間はいる。

 

そんな風に他人から、明らかに敵意をむき出しにした言葉を投げつけられた事なんてなかったから、びっくりしてどう反応していいのかわからなかった。

中国人と呼ばれることが、差別だなんて思わない。

でも、その言葉に明らかに敵意とばかにした、傷つけようという意図が出ていた。

  

早く、少しでもスペイン語がわかるようになりたいって思っていたけど、わかりたくもない言葉を聞き取っちゃうくらいなら、一生言葉がわからないままの方が良かった。

 

 

こういう時の人間の聴力ってすごい。

不思議と耳に入ってくるし、スペイン語初心者のくせに、はっきり聞き取れた。

 

「今の、聞こえた?」

って、この動揺をどうしたらいいか分からなくて、すぐに旦那さんにいった。

「ブサイク中国女」って言われた。

言わなくてよかったけど、一人で抱えたくなかったし、正直どう反応していいのか、どう飲み込んでいいのかわからなかったから。

 

 

じゃぁ、いつもはおちゃらけている彼が、すっごい悔しそうな顔をして、

「誰がそんなこと言ったんだ」

って。

今通り過ぎた車っていうと、去って言った車の方を見ながら、すっごく悔しそうな顔、悲しそうな、申し訳なさそうな顔をした。

そして、私に言った。

 

「嫌な思いをさせてごめん。」

 

 

その一言を聞いた瞬間、悟った。

 

「あー、私は、今、人から謝れるような目にあったのか。

これが、差別を受けたということか。」

 

その言葉で、私は、いわゆる「差別を受けた」と認識させられた。

 

そして、急にものすごく悲しくなった。

 

多分、彼らの声が聞こえてたであろうウエイターさんが、その状況の中うちらの間に入ってきて「とてもいい天気で、テラスにいるのは心地いいですねー」って。

 

多分励ましてくれようとしたのかな。

たまたまだったかもしれない。

もしかしたら、彼には何も聞こえてなかったかもしれない。

でも、そのタイミングで、そんな優しい穏やかな言葉をかけてくれたサービスに、温かい気持ちになった。

 

 

そのあと、海辺を歩きながら家に戻る道なり。

いろんなことを考えた。

 

外国で生きていくということ。

これからも、そんな場面に遭遇する可能性があるということ。 

 

それと当時に、今まで1年間のスペイン生活で、そんな嫌な目にあった事が1回もなかったっていう事。それって、すごい人に恵まれていたってこと。

 

「お嫁さんが日本人なんです。」

 

って、自慢気にみんなにいってくれる旦那さん、日本人って聞くとみんなが好感を持って会わせてって言ってくれること。「スペインの生活に慣れた?」って気にかけてくれること。

 

今まで出会った人、バルやレストランでサービスをしてくれた人、みんなが普通に接してくれた。今まで道ですれ違った人、アジア人である私に対して、特別、気に留めることもなく、通り過ぎてくれた。

 

1年間スペインで生きてきて、何百人、何千人という人が私の存在を受け入れてくれた。もしくは気にもとめずに、ただココに居させてくれた。

 

そう思うと、こんなたった1回の出来事で、スペイン人に対して嫌な気持ちになるのは、なんか違うなって。何百、何千人のうちの3、4人の少年に投げつけられた一言。

今思うと、スペイン人やったのかすら分からない。

 

そう思うと、急にどうでも良くなった。

 

それに、そんなたった一握りの心無い人の言葉に、傷つけられたり、揺さぶられる自分が嫌になった。

 

急に思った。

 

どーでもええわ!

 そんな心無い人間の一言に傷つけられて、たまるか!

 

って。

 

それに、彼らは私のことをなーーーーーんにもしらん。

私という人間を否定されたわけちゃう。

私のことを知っていて、知った上で、嫌われたら、ちょっとへこむ。

でも、3秒くらい私を見て、アジア人や、傷つけたろ!くらいの、幼稚な行為。通り過ぎる車の中から私をちゃんと見ることもなく、発せられた言葉。

そんな幼稚な行為に、いちいち、感情揺さぶられてたまるかーーーーーーーー!!!!

 

 逆に、今まで出会った、すれ違った、全ての人に感謝しよう。

 

 

日本の外で、外国で生きていく以上、外国人である事は変える事ができない事実。

これからも、そんな心無い人間が現れるかもしれん。

いちいち感情が揺さぶられるかもしれへん。

 

でも、肝心なのは、自分がそれをどう受け止めるか。

 

傷ついて悲しむのも一つ。

アホちゃうか?って右から左に流すのも一つ。

 

私は後者を選べる、

そんなでっかい器を持った人間になりたい。

 

 

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