スペイン語でフクロウカフェのかわいそうな現実を知った。
スペイン語を学んで良かったことはたくさんある。
他の国の人とコミュニケーションが取れること。
その国の文化や人間を、知る事ができること。
その中の一つに、スペイン人の一人の動物保護の活動家との出会いがある。
「出会い」と大げさに書いてしまったけど、私はスペインのテレビを通じて彼のことを知った。
その彼の活動を通じて、日本のフクロウカフェのかわいそうな実態を知った。
この記事では、一人のスペイン人と、彼の動画で見た「日本へ連れていかれるはずだったフクロウ」について紹介します。
前置きとして、誰かや何かを直接否定する記事ではありません。ただ、知ったからにはシェアをしたいと思ったので、記事にしました。
気ままにスペイン暮らしを綴っている普段の記事とは違うので、もし興味を持ってくださる方いれば、引き続き読んでもらえたら嬉しいです。
- 元プロテニスプレーヤーの「フランククエスタ」
- フランククエスタの活動
- フクロウカフェのフクロウはどこからくるの?
- 保護されたフクロウの今後は?
- フクロウカフェに連れていかれるはずだったフクロウが野生に戻る時
- まとめ
元プロテニスプレーヤーの「フランククエスタ」
彼の名前は、FRANC CUESTA(フランク クエスタ)
スペイン人の元プロテニスプレーヤー。
現在は、タイで動物の保護施設を立ち上げ、保護活動をされている。
獣医でもあり、爬虫両生類学者でもある彼は、スペインでいうムツゴロウさんみたいな人。
動物の生態について知り尽くしてるフランクは、巨大へびや巨大ムカデ、ライオンやチーター、どんな動物だろうと、大好きな物を目の前にした子供のように喜び、テンションが上がり、毒ヘビだろうが何だろうが、近ずき、触って、体をはって生態を紹介してくれる。
アニマルプラネット「ワイルド!フランク」などテレビ番組も持っておられ、ジャングルに入って動物の生態を紹介するなど、スペイン国内ではとても有名な人。
ムツゴロウさんみたいな人と言えば、見るからに温厚そうで、動物に好かれそうな、いかにも人の良さそうな人を思い浮かべるかもしれない。
でも、フランクは全然違う。
見た目はいつも、白のタンクトップに半ズボンに、キャップ帽のツバを後ろにして被っている、悪ガキ少年がそのまま大人になったみたいな人。
しかも、動物を探しにジャングルに入って行ったり、動物を見つけたら一緒に寝転がったりするから、服が真っ黒にいつも汚れている。
スペイン語を学んで、言葉が少し分かるようになったら、より一層彼を知る。
言葉づかいは、お世辞にもいいとは言えない。
「クッソ、このやろー」とかばっかり言う。
なぜか分からないけど、私は、フランクとお笑い芸人の千原せいじ(兄)さんのキャラクターがすごく被る。
でも、彼の動物への愛情は、ものすごく深く、動物が人間の手によって無駄に傷つけられることがあったら、彼は怒りをあらわに、そして、まるで自分の子供が虐待にあっているかのような傷ついた顔をする。
そして、必死で動物を守ろうとするフランクの姿を見て、私は何度も何度も胸を打たれ続けている。
フランククエスタの活動
彼の仕事は、タイ国内で動物の不正取引で犠牲になっている動物を保護して、野生に戻すこと。
タイ国内では、東南アジアにしか生息しない珍しい動物の密猟。いわゆる、エキゾチックアニマルと言われる動物たちの不法取引が日常的に行われている。そして密猟された動物たちは物のように扱われ、目を覆いたくなるような方法で国外へと輸出されていく。その軋轢な扱いゆえに、目的の国につく頃には大半が死んでしまっているそう。
珍しい動物が大量にケージに入れられ、売られている市場も存在する。軋轢な環境でケージの中で生き絶えた動物は、物のように捨てられていく。
フランクが保護施設を運営する上で、動物の治療費、食費など日々お金がかかる。
そのため彼はテレビ番組に出演して定期的にロケをしてその運営費を賄っていた。
現在はコロナウィルスの影響もありテレビ番組のロケに出れないので、彼はユーチューブで彼のタイの自宅兼、動物の保護施設から、日々の生活をアップしている。
タイの密猟は、裏組織や一部の警察と繋がりがあると言われている。タイの政府とも繋がっているという噂もある。活動していく中で、フランクは何度もマフィアから脅されていたそう。
2013年、フランクのタイ人の奥さん(今は離婚している)は、5mgのコカイン所持の疑いでバンコクの空港で捕まった。現在も刑務所に入っている。その所持していたとされるコカインはその当時もその後も出てきていないそう。今も、フランクと子供4人は、彼女の解放と無実を訴え続けている。フランクは、スペイン国王にも助けを求めていたが、元奥さんがスペイン国籍を取得していなかったので、国をあげて保護することが出来なかったよう。
そんな彼のユーチューブチャンネルを通じて考えさせられた、
日本の「フクロウカフェ」。
知ったからには、せめて伝えようと、今回記事にしました。
私がシェアする情報は、動物を違法な取引きから保護する活動家から知ったものです。他にも色んな観点からの情報があると思います。
フクロウカフェのフクロウはどこからくるの?
はじめに、フランクがいう。
「俺は、こんなビデオをユーチューブで見ることに、もううんざりしている」
そして、一人のユーチューバーが、日本のフクロウカフェを訪れた様子を流しているビデオが紹介される。
彼女はビデオ内でいう。
「私は動物が大好きなの!動物愛護主義よ!23年間ベジタリアンです。だから、(フクロウカフェに入る前に)このお店が、動物に優しいお店であることを願っているわ」
そして、フクロウカフェに入店して、フクロウと触れ合った後にいう。
「正直に言って、私の人生にとって本当に素晴らしい経験をしたわ。ここに来れて幸せ。お店の人たちはフクロウを触ったらだめだとか、彼らに休憩時間を与えたり、フクロウにとても優しい、ちゃんとした扱いをしていたわ」
そして、その彼女がいう「フクロウカフェでちゃんとした扱いを受けているフクロウ」が、実際にタイから日本へ送られる前にフランクによって保護され、施設に連れて来られた様子が続きます (ビデオの4分35秒辺りから)
映るのは、フランクとダンボール箱。
このフクロウを、ダンボール箱に入れて日本へ連れて行こうとしていたのは、日本人。
このフクロウを国外に連れ出すのに必要なのは、せいぜい20ドル程度。
そのダンボール箱を開けると、中から出てきたのは、足を紐で繋がれ、タイから日本へ連れていかれようとしていたフクロウ。まだ6ヶ月程度の赤ちゃんのフクロウだそう。
フランクはいう。(8分10秒あたりから)
「これらのフクロウ達は、この後カフェに並べられる。そして、みんなが触りながらいう。あー、なんて可愛いフクロウなのって。ほら、みて。今、こんなにも怖がっているっていう現実があるのに。何で、こんなことが起きるのか?それは、需要があるから供給があるんだ」
そしていう。
「何万人もフォロワーがいるユーチューバーや、影響力がある人が、フクロウカフェに行って、「可愛い」と言って紹介をする。少しでいいから、脳みそを使ってくれ。
このフクロウは、こんな小さな箱に入れられ紐をして逃げないようにされて、日本へ連れて行かれようとしていたんだ。そして、その後こんな風に一生紐に繋がれて、そのうち人間に慣れるように変えられていく。」
ビデオ内でフランクが途中、フクロウを触ったり、「おら!」と話しかけて近ずいたりするのは、フクロウの反応を見て、状態を確認しているからです。
その後、フクロウに繋がれていた紐を切って、フクロウが落ち着くまで様子を見るという。
そして最後にフランクはいう。
「需要がなければ、ビジネスは成立しないんだ」
フランクは、フクロウカフェにいく人を直接批判したいわけじゃない。
フクロウカフェを紹介しているユーチューバーを批判したい訳でもない。
ただ、動物愛護主義者として情報を発信している影響力のある人間が、その実態について何も考えず肯定的な意見を堂々としていること。
そして、ただ「可愛い」という理由だけで、フクロウカフェを利用して、その動物がどういう経緯でそこにいるのか考えることもない私たち消費者。
それによって益々被害に合う動物が増えるその現実、ただそれに憤りを感じているんだ。
保護されたフクロウの今後は?
保護した時点で、フクロウがすでに人間に慣れているようであれば、その後、野生に戻すまで6ヶ月程度かかるそう。
彼は、別のビデオで言っていた。
彼ら動物の自由を奪うのは簡単で、彼らの命はほんの数十ドルのために売られていく。 でも彼らを野生に、いるべき場所に返すためには、時間もお金もその何倍もかかること。
保護してから、まずは、動物の警戒を解くために、フランクは動物と「友達」になる。
警戒して、ご飯を食べない場合もあるから。その後、狩りを覚えたり、敵から身を守る術、野生の本能を取り戻す訓練をする。
そして、野生に戻す数週間前は、「友達」だったはずのフランクが「敵」を演じる。
優しく自分にご飯をくれていた「人間の友達」が、ホウキを持って追いかけてくる日々が続く。フランクは、何ヶ月も世話をした大好きな動物に「大嫌い」になってもらうためにホウキで彼らを追い回す。
最後に「人間は敵だ」と認識してくれたら、野生に戻す準備が整ったことになる。
フランクは言う。
「正直、「敵になる」部分はいつも辛い。でも、これが彼らが本来いるべき場所に戻るための過程なんだ。だから、辛いけど、俺は幸せなんだ。彼らは人間を嫌いになる。恐る。もう二度と人間に捕まらないために、必要なんだ」
フクロウカフェに連れていかれるはずだったフクロウが野生に戻る時
ダンボール箱に入れられて、日本に連れていかれるはずだったフクロウ。
初めフランクは、人間に慣れたフクロウだと思ったそう。
怯えながらも、人間に触られるとじっとしていたから。
でも箱から出して1時間もすると、人間に一切触らせない、出されたご飯に手を出さない。
その後、夜中に保護施設内の野生のネズミがいる場所に放つと、狩りをしてネズミを捕まえていたことが確認できた。
「俺は狩りをしているこのフクロウをみて確信した。このフクロウは、俺や、日本のカフェで人間に育てられなくても、自分で、自分が本来いるべき場所で育っていける力がある。」
彼がフクロウを野生に戻すのは、彼の保護施設から300キロほど離れたタイにある国立公園。(ビデオ3分あたり)
フクロウを夜ではなくて、日中に野生に放つ理由は、
フクロウが、周辺を探索したり、居心地のいいスペースを確保したりする時間をあげるため。
フランクが、カゴのふたを開けると同時に高く飛び立つフクロウ。
フランクがいう。
「もう、自由だぞ!自由になったぞ。」
まとめ
高く飛んでいくフクロウをみて、嬉しそうな顔をするフランクをみて、以前フランクが言っていた言葉を思い出した。
「フクロウは本来、飛ぶ動物だ。それを、人間が強制して飛ばないようにすること、それは、もう犯罪なんだよ」