日本人にとって大切な日。
10年前の今日。
私は会社にいた。
東北からかなり離れた関西にもその地震は届いていた。
デスクワークで座っていた人たちみんなが、かなり大きな横揺れを感じたと動揺していた。長い横揺れに気分を悪くしている人もいた。
急な来客対応で社内を走っていた私は、その時に起きた地震に気づかなかった。
今も思い出す。
あの時、日本中を襲った地震。
なんであの時、私は地震に気づかなかったのか。
それから、普段はないテレビが会社の倉庫から出されてきて全員でニュースを見た。
今も忘れない。
どんどん波が押し寄せてきて、波と流れてきた船がどんどん街を破壊していく姿。
まだまだ被害の全貌が全くわからない状況の中、
これはただ事ではない、そう思った。
たくさんの人が、大事な人を失った。
大事なものを失った。
そして、故郷を追われた。
あの日から永遠に消えない傷を抱えることになった。
答えの無い問いに苦しみ続け、返事が無い声に問い続けている。
私が今でも忘れられない話し。
津波に追われて逃げる中。
最後の最後に繋いでいた手を離してしまって、目の前で自分の奥様を亡くされた旦那様。自分の手を見ながら最愛の人を思い出し、救えなかった自分の手を責め続けている人がいた。
その話しを聞いた人、記者だったのか誰だったのかは覚えていないけど、その人が、その旦那様にかけた一言が忘れられない。
あなたが救えなかったと思っている、その奥様の手は、
あなたに生きて欲しいと誰よりも願われた手ですね。
10年たった今日も、生き残った自分を責めて生きられている方がたくさんいて。
私なんかが、言葉を簡単に発することすらためらうけど。
それでも想う。
生きていてくださって、ありがとうございます。
そして、こう願いたい。
先立たれた人は、きっと残された人に「ただ生きて欲しい」と願っていると。